検査科の紹介

　検査科では、各診療科から依頼を受け、診療に必要となる検査を行っています。検査の種類は大きく二つに分けて、血液や尿などを調べる「検体検査」と、体を直接調べて機能を評価する「生理機能検査」があります。
　ここでは、当院が実施している様々な検査について紹介しています。

検体検査

　患者様から採取した検体(血液・尿・便・体液・細胞など)を用いて行う検査のことをいいます。当院で行っている検査では、生化学検査、免疫血清学検査、血液検査、一般検査、輸血検査、病理(組織／細胞)検査などがあります。

《生化学検査》

　自動分析機器を使用し、血液や尿・その他の体液を検体として、肝機能・腎機能・炎症反応・脂質・血糖等を迅速かつ正確に測定しています。電子カルテを利用して各診療医にリアルタイムに報告していますが、前回値との大きな乖離やパニック値が出た場合は、早急に主治医に連絡するよう努めています。

《免疫血清学検査》

　B型肝炎ウイルス抗原・抗体、C型肝炎ウイルス抗体などのウイルス検査、各種腫瘍マーカー、甲状腺ホルモンなどを測定しています。測定方法は主に化学発光酵素免疫測定法（CLEIA法）で、他にも免疫比濁法、化学発光免疫測定法で検査している項目もあります。

《血液検査》

　血液中の赤血球、白血球、血小板の３系統の血球について専用機器で調べる検査です。貧血や感染症、血液疾患の有無を知るために重要な検査です。白血球数で異常が出たときに、血液塗抹標本を作成し、詳しく顕微鏡で観察し血液細胞が正常とどのように違うか正常な細胞がどのくらいあるか検査を行う場合があります。
　また、骨髄の産生能を反映する網赤血球数や幼若血小板数も測定出来ます。　血液内科医師が常勤していますので、骨髄検査も院内で行います。顕微鏡で骨髄の細胞の増減を調べ、悪性細胞の有無、骨髄の状態を観察し、治療に役立てられています。

《一般検査》

■尿定性検査・尿沈渣検査

　尿定性検査は、尿試験紙を使用した自動測定機器で、色調の変化から尿中に含まれる血液や糖・蛋白などを調べる検査です。尿沈渣検査は、自動測定器で尿中にある様々な細胞や細菌・真菌、結晶などを測定します。その中で、数値の高いものや異常な形態のものは、尿を遠心処理をし得られた沈殿物を顕微鏡で確認しています。

■便潜血検査

　糞便中のヒトヘモグロビンを測定し腸管出血の有無を調べる検査を行っています。

■体液検査

　◇関節液
　　関節液内にある赤血球や白血球の数、尿酸ナトリウム結晶とピロリン酸カルシウム結晶の有無を
　　顕微鏡で調べる検査を行っています。主に偽痛風や痛風を診断するために行われる検査です。

　◇髄液
　　脳室・脊髄のクモ膜下腔を流れる無色透明の液体で、髄液中に含まれる糖や蛋白、細胞数を測定
　　しています。髄膜炎や脳炎などの診断、治療効果判定に有用です。

　◇胸水　腹水
　　採取された貯留液の糖や蛋白、細胞数、腫瘍マーカーなど検査をします。

《輸血検査》

　貧血や出血、手術などで輸血が必要になった患者さんに対する安全な輸血実施に必要な検査や血液製剤の準備を行っています。

　○必要な検査　
　　血液型検査(ABO型，Rh型)、不規則抗体検査、交差適合試験、輸血実施前後の感染症検査など

　○血液製剤の種類　
　　照射赤血球液、照射濃厚血小板、新鮮凍結血漿など

　その他、手術の為にあらかじめ貯血しておいた自己血の保管や必要な検査を行っています。

《感染症迅速検査》

　患者様から採取された尿、便、鼻水、喉の奥の粘液などから、特定のウイルスや菌の感染を調べる検査です。簡易な検査で、短い時間で結果がわかります。
　インフルエンザウイルス抗原を代表とした種々の検査キットを置いており、症状に合わせて医師の指示があった検査を行います。

生理機能検査

　患者様に直接触れて体の機能を調べる検査のことをいいます。代表的なもので心電図検査、肺機能検査、超音波検査などがあります。

《心電図検査》

　心臓は微弱な電気信号によって筋肉(心筋)が収縮することで動いています。その電気信号を波形に表したものが心電図です。不整脈や虚血性心疾患など、心臓病の診断に用いられます。

《肺機能検査》

　肺の容量や肺・気管支の状態を調べる検査です。息が吐きにくくなる閉塞性換気障害(COPDや気管支喘息など)、息が吸いにくくなる拘束性換気障害(間質性肺炎や肺線維症など)の診断の一助となります。検査技師の声掛けに合わせて呼吸していただくため、患者様の協力が必要な検査です。数回同じ検査を繰り返し、一番信頼できる結果を主治医に報告しています。

《ABI･TBI／PWV検査》

　ABIでは両手両足の血圧を同時に測定し、下肢動脈の狭窄や閉塞の有無を、TBIでは両足の親指の血圧も測定し、末梢血管における閉塞性病変の有無を検査します。
　PWVはABIと同時測定されていて、心臓から出た血液により生じた脈波が動脈を伝わっていく速さを測定し、血管壁の硬さを検査します。
　カフで加圧する際、個人差はありますが、多少圧迫感を感じる場合があります。
　検査の際、体を締め付ける衣服を着用している場合は脱いでいただく必要があります。また、透析用のシャントがある場合は検査前にお申し出ください。

《脳波検査》

　脳の中の微弱な電気信号を頭につけた電極でとらえ、波形として記録し、脳の働きを調べる検査をおこなっています。所要時間は、電極装着から後処理までで約1時間程度です。
　脳波検査は、てんかんの診断や病型判定・けいれんや意識障害の評価に用いられます。

《神経伝導速度検査》

　神経、筋の機能を解析し、その病態と病巣の広がりと重症度を評価する検査です。神経には、運動神経（動き難さ、脱力など）や、知覚障害（しびれ、感覚の鈍さなど）があります。原因を探るため、末梢神経の障害がないかを調べます。
　検査は、測定部位にシールの様な電極を貼り、神経を電気刺激して、神経が伝わる速さを計測します。検査は、３０分前後です。電気刺激によるピリピリ感や痛みを感じますが、検査の間だけもので、体には害はありません。

《超音波検査》

■腹部エコー

　肝臓・胆嚢・腎臓・膵臓・脾臓・膀胱・前立腺・子宮・卵巣などを観察し、各臓器の状態を調べる検査です。検査時間は約20分程度で、前日の夕食後以降は検査まで絶食となります。
　検査でわかる病気は、肝のう胞・脂肪肝・胆石・腎結石・前立腺肥大などが主ですが、良性悪性それぞれの腫瘍性の病変も見つける事ができます。

■甲状腺エコー

　喉の部分にある甲状腺に超音波をあてて、大きさや腫瘍性の病変を調べる検査です。
　検査でわかる病気は、甲状腺のう胞・良性悪性それぞれの腫瘍・甲状腺機能異常などで、検査時間は約15分程度です。

■頸動脈エコー

　頸動脈の内側に血栓(プラーク)がないかどうか、狭窄がないかどうか(血管壁の厚さ)を調べる検査です。検査時間は約15分程度です。

■下肢静脈エコー

　足の血管（静脈）に血栓がないかを調べます。足の付け根から足首まで、場合によっては足の付け根からみぞおちまで観察します。
　仰向けに寝て検査をします。血管を観察しやすくするために、座ってもらうなど姿勢を変えてもらうことがあります。検査時間は約20分です。

■心臓エコー

　心臓の大きさ、動き、弁、血流を観察し正常に働いているかを調べます。心筋梗塞、弁膜症、心拡大、心肥大、心不全、先天性心疾患などを調べます。
　心臓を観察しやすくするために、左側を下にして横向きに寝てもらいます。場合によって、息止めをしてもらうこともあります。検査時間は約20分です。

■経食道心臓エコー

　絶食で検査を行います。胃カメラのように管を口から飲み込んでもらい検査をします。経胸壁心臓超音波検査より詳細に心臓を観察できます。
　感染性心内膜炎や、左心耳血栓の有無、弁膜症の精査などを目的として行います。

■乳腺エコー

　胸にゼリーを塗り超音波を出す機器を当て、乳房内の乳腺や乳管を観察する検査です。乳房内の病変の有無、乳管内の変化、周囲のリンパ節の変化を調べます。
　検査中乳房の圧迫を必要としないため、痛みはありません。検査時間は約15分です。当院ではエコー下細胞診検査や、エコー下組織診検査も行っています。

《睡眠時無呼吸症候群検査》

　睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まる病気です。睡眠中に起こるためご自身ではなかなか気づくことができませんが、この病気が原因で日常生活に障害を引き起こしたり、さまざまな生活習慣病が合併していることが知られています。
　診断には睡眠中の呼吸の状態を調べる検査を行います。

《24時間自由行動下血圧測定(ABPM)》

　病院の外来では血圧が上昇してしまうことがある(白衣性高血圧)ため、日常生活での血圧を24時間測定し、血圧の日内変動を調べます。
　この検査を行うことで、高血圧の診断、さらに高血圧の重症度や合併症の危険度の予測、また治療方法の決定に役立てることができます。
　検査は上腕にカフを巻き、腰に血圧計本体を固定して24時間測定を行います。一般に、昼間は30分間隔、夜間は1時間間隔で器械が自動的に血圧測定を行います。測定中は安静にしていただく必要がありますが、それ以外はいつも通りの生活を送っていただきます。